ページが見つかりませんでした – 株式会社シードパートナー https://seed-p.co.jp Mon, 05 Feb 2024 01:19:56 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 営業コラム Vol.003 「ビジネスとしての“アイスブレイク”を活用し営業の主導権を握る」 https://seed-p.co.jp/sales-column-003/ https://seed-p.co.jp/sales-column-003/#respond Mon, 05 Feb 2024 01:00:49 +0000 https://seed-p.co.jp/?p=742 今回は、営業の駆け引きには欠かせない「アイスブレイク」についてお話しします。

アイスブレイクは必要ない(すぐに本題に入りたい)、という人もいるでしょう。
考え方は人それぞれであるとは思いますが、アイスブレイクの目的・意義について、改めて考える機会にして頂ければと思います
「アイスブレイクのやり方が分からない」と言う人は、意義・目的に加えて、やり方をお伝えしますのでご参考にしてください。

初回営業では、訪問先の相手と初めてコミュニケーションをとることになります。
お互いに緊張状態にあるはずで、最初の壁を突破する上でアイスブレイクは非常に有効な手段だと考えています。

2回目以降の営業でも、これから始まるビジネスミーティング(商談)をスムーズにするために、アイスブレイクは大変有効と私は考えています。

営業におけるアイスブレイクは、いくつかポイントがあります。今回はアイスブレイクを実施する目的とどのような効果があるのか、実際にアイスブレイクをうまく使いこなすためのコツを紹介します。

営業コラム Vol.002を読む

 

アイスブレイクの意味と意義

アイスブレイクとは一言でまとめると、その場の緊張をほぐし、場を和ませるためのコミュニケーションテクニックです。
営業(商談)においても本質的な意味は変わりませんが、フリートークや雑談をするというよりは、その先の商談、成約へ繋げるための手段(アイドリング)として活用すべきでしょう

相手とのコミュニケーション、特に営業をはじめとする交渉ごとにおいては、理論と感情の駆け引きが重要です。「理論を用いて感情に訴える」のです。大抵の場合、最後は感情の部分で折り合いをつけます

私もこれまでに、「良いものだと思うけど、なんとなく気に食わないから契約しないよ」という主旨の断り文句を言われたことがありました。体感ですが、3割くらいの確率でこういった終わり方をすることもあります。

そんなことあるの?と思われるかもしれませんが、よく考えてみてください。知らない人がいきなりあなたの会社へ押しかけてきて、「うちはこんな商品を売っています」、「あなたにとってすごくメリットがありますよ」、「今決めればサービスしますよ」、「絶対に後悔させません!」などと捲し立ててきたら、どう感じるでしょう?

まず商品云々の前に、「この人怪しいな・・・」と思うはずです。そして、その後はどのような説明を受けても怪しいな、が先行してしまうでしょう。

このように、相手のことを知りもせずにとにかく自社の会社案内や商品の話ばかりしてしまう営業マンは一定数います

自分を知ってもらうには、それと同じくらい相手を知ることも大切です。そのためのコミュニケーションとして、アイスブレイクは有効な手段なのです。
相手にまず興味関心を持ってもらうことで、その後の商談のイニシアチブも取りやすくなります

もちろん、アイスブレイクを必ずやらなければいけないわけではありません。アイスブレイクなどなくとも、相手の懐に入り、成約に繋げられる営業マンもいます。
ただし、そういった人をよく観察してみると、結局は商談の中でさりげないアイスブレイクが散りばめられていたりするものです。

アイスブレイクという営業スキルをひとつ持っておくと、営業マンとしての幅も広がるでしょう。

 

アイスブレイクの目的と効果

ここからは営業においてアイスブレイクを行う目的と効果について解説していきます。

01.相手の緊張を解く

営業に限らず、初めての人に会うというのは多少なりともお互いに緊張するものでしょう。
初回訪問の場合、営業を受ける側は、どんな人が来るのだろう、どんなものを売ってくるのだろう、と身構えていることが多いです。

緊張した状態で話を進めても、相手に重要な情報というのは入りづらいです。
人間は、緊張状態より自然体でいる方が集中しやすいもの。まずは話を聞いてもらうために自然体になれる状況にすることが大切です。

02.相手の人間性を確認する

商談相手の人間性を見るには、アイスブレイクが非常に効果的です。なぜなら、商談に入ると「ビジネス」という意識が強くなり、ビジネスライクな対応をされる可能性が高いからです。

営業とは一見関係ない話を振ることで、相手がどのような人かおおよそ知ることができます。
例えば、どのような話題でもフレンドリーに反応する人であれば、少し攻めた商談をしてみてもいいかもしれません。
一方で、アイスブレイクを始めたら、早く本題に入ってほしいという反応や表情をする人もいます。そういった人は余計な話をあれこれするよりも、先に要点を伝えた方がかえって好印象を与えられる可能性があります。

その後の商談の進め方を考える上でも、まず相手を知ることは大切なプロセスといえるでしょう。
相手の個性に合わせてこちらの情報提供の量や質をフレキシブルに対応できる営業マンの方が、それができない営業マンよりも成果が上がりやすいことは、議論を待たないことでしょう。

03.こちらの人間性を知ってもらう

相手だけでなく、こちらの人間性を知ってもらうためにもアイスブレイクが効果的です。
序盤でお伝えしたように、いきなりかつ一方的に自己紹介や商品紹介をしてしまうと、ただでさえ身構えられているのに、より怪しまれてしまいます。

一見、商談に関係ない話をすることで、なんだかこの人は話しやすいな、相談しやすいな、と思ってもらえれば、その後の商談でのイニシアチブを取れる可能性も高まります。

気をつけたいのが、素のあなたを知ってもらう必要はないということあくまで最終ゴールは成約です。過剰に自分を見せすぎるのではなく、営業マンとして話しやすい、信頼しやすい、頼りがいがありそうな人だと思われるような演出を意識してみましょう。

04.精神的に余裕のある営業マンという意識付け

これは「03. こちらの人間性を知ってもらう」に近しいポイントになります。
いきなり自己紹介や商品紹介をすると、怪しまれるだけでなく、必死感が出てしまいます。

相手が興味を持ちそうな話題を事前に用意しておき、相手の会社のことや業界のことなど、自然体で話せる話題を振ってみましょう。
この人は話題も豊富で博識だ、なんだか頼り甲斐がありそうだな、と思ってもらえるよう演出するのです。そこまで相手の感情を引き付けられると、相手も心を開いたり、本音を聞けるようになります。

05.相手の口を開いてもらう

人間、長い間じっとしていると、全身の筋肉が硬直して動きづらくなります。運動前にストレッチをするのは、そういった状態を改善し、身体機能の向上や怪我防止を目的としていますよね。

喋る時も同じです。声を出すには声帯という筋肉を使うわけですから、ずっと黙っているといざ自分の番になった時、話しづらくなります。
ずっとこちらが喋っていると、こちらの説明に相手が疑問や懸念を感じたときに、相手が話すタイミングを逃してしまうことが良くあります。
そうなると、不安や不満が心に残ってしまい、その後のこちらの説明に集中できなくなります。それがクロージングの段階で芽を出して、自身では商談が上手く行った(上手に説明できた)と思っていながら、相手から理由の分からない断りを受けることになります。

定期的に相手にも発言を促し、喉のストレッチをしてもらうことで、意見や質問をすることへの準備運動をしてもらうのです。

最初にお互いに話をすることで、相手にとって心のストレッチにもなります。身体と心の緊張がほぐれてくるので、商談に入った際、疑問や懸念をその場で口にしやすくなります。
相手の不安・懸念・疑問は、商談の早い段階で拾い上げるべきです。そのためには、相手に発言の機会を与える雰囲気づくりが大事です。

06.相手の本音が聞けることもある

頻繁に起きるケースではありませんが、上手くアイスブレイクが成立すると、商談に入る前段階で、相手から「実はこういうことで悩んでます」と話してくれることもあります。(私の体感としてこのパターンになるのは1〜2割くらいの確率です。)

どういう話の流れで本音を聞き出せるかというのは、正直相手次第な部分もあります。こちらから話すだけでなく、質問をしてみることも有効的です。
今話題になっている業界の話をあえて聞いてみる、自分で得た情報を相手にも共有してみる、など、要はあらゆる手数を打ってみて、相手に信頼してもらうことが大切ではないでしょうか。

アイスブレイク時は相手を観察する

商談に入ると、資料を凝視したり、PCやノートでメモを取ることが増え、つい相手を見なくなりがちです。
一方でアイスブレイクというのは、相手のみに集中できる唯一の時間なのです。たった3分や5分だったとしても、このコミュニケーションは非常に重要です。

お互いの人間性を知ることが出来る貴重な時間を省いてしまうと、ビジネスの話だけに集約されてしまい、なんとなくお互いに探り合ったまま終わってしまうこともあります。
例えうまくアイスブレイクができなかったとしても、商談前に相手と目を合わせて一言二言話すことは意識して取り入れてみましょう。

 

アイスブレイクのための事前準備

営業におけるアイスブレイクは、ただ雑談をすればいいというわけではありません。
相手に心を開いてもらいながら商談のイニシアチブを取るには、雑談と見せかけて目的のある話をする必要があります

そのために必要なのが、事前準備です。では、具体的にどのような準備をするといいのか、私の経験をもとにお伝えします。
参考にしていただきご自身のやりやすい方法で取り組んでみましょう。

まずは「地元・身内ネタ」から

今ではこうしてアイスブレイクについてノウハウをお伝えできるようになりましたが、もちろん私もいきなりできるようになったわけではありません。
アイスブレイクの話題で大切なのは、「相手にとって身近な話題」を振ること。そして、身近な話題にもレベルがあります。

私が最初に取り組んだのは、相手にとって身近な「地元・身内ネタ」を集めることでした。

地元ネタは、訪問先の最寄駅を降りてから訪問先に到着するまでにある、飲食店や面白いビルなどをよく観察するのです。あの飲食店は個人店のようだけど美味しいのかな、こっちのビルはずいぶん古いデザインだけど昔からある建物なのかな、など、少し気にしてみると案外思いつくものです。
私は時間がある時、あえて早めに最寄駅へ到着して周辺をよく歩き回っていました。

一方で、場所によっては話題が見つからないこともあるでしょう。そういった時は、訪問先のオフィスに入ってから会議室に通されるまでを観察してみます。これが身内ネタです。

例えば、受付の方の対応が良かった、すれ違った社員の挨拶が元気だった、珍しいフリースペースがあった、など、ちょっとしたことを頭に入れておき、商談前にさりげなくそのことを伝えるのです。
自社のことを褒められて嫌な気持ちになることはそうそうないでしょう。

また、「社員の方の挨拶が元気で素敵ですね、そういった教育はどのようにやられているのですか?」というような質問もできますね。話が発展して、うまく相手のビジネスに関する本音を引き出せるかもしれません。

訪問先周辺のネタが見つからなかった、訪問先でも話題にできそうなものがない、そうなったら、会議室に置いてあるものを探してみましょう。本、写真、置き物、絵画や掛け軸、周辺機器、椅子、テーブルなど・・・
私も話を始めるきっかけが見つからない時は、何か面白いものがないかよく会議室の中を見回していました。

慣れるまでは、時事ネタや業界の最新情報を必死に集めるよりも、相手の環境にとって身近な話題を集めた方が、自然なコミュニケーションを生み出しやすいです

業界の時事ネタも押さえておく

やはり業界の時事ネタを話せる方が、営業マンとしても魅力的に感じますし、信頼されやすいでしょう。
さらに、商談前のアイスブレイクで盛り上がれたら文句なしです。相手がビジネスの姿勢に入りきらない状態で業界の時事ネタに切り込めると、思わぬ本音が聞ける可能性もあります。

私は毎朝日経新聞の全ページに目を通し、ビジネスの情報収集を行っています。最近では新聞以外の手段でも情報収集はできますので、ご自身がやりやすい方法で取り組むといいでしょう。
特にこだわりがないのであれば、新聞からの情報収集はおすすめです。

特段興味がない記事は本文を読まず、見出しを見るだけでもいいと思います。私は日経新聞の全ページに目を通していると言いましたが、本文の全文を読んでいる記事は多くても4~5件と思います。ただ、できるだけ多くの見出しは見るようにしています。
「●●社の業績が前年比で20%上昇」のような見出しを見るだけでも、その業界のネタになります。

気合を入れたい商談の場合には、事前に同業の上場企業の「有価証券報告書」を見ておくこともあります。その業界のトップランナーの経営方針や課題を知っておくと、これもアイスブレイクの話題に使えます。
例えば、飲食店の営業に行く際には、ゼンショーホールディングスの有価証券報告書を読んでおく、などのようなことです。

「地元・身内ネタ」、「業界の時事ネタ」この2点をおさえておけば、意識せずとも自然なアイスブレイクができるようになります。どちらかに偏って話すというよりは、状況に応じて使い分けられるとより理想的なアイスブレイクができるでしょう

 

まとめ

営業マンやマネージャーの育成支援を行っていると、支援先の営業マンから「アイスブレイクってやった方がいいですか?」とよく聞かれます。答えは「絶対にYes」です。

アイスブレイクは、商談の中でもほんの数分のやりとりなので、重要視している人は少ないかもしれません。ですが、紐解いてみると、成約率を高める要素がたくさん詰まっており、やる価値は大いにあります

また、「アイスブレイクもちゃんとやった方がいいと上司に言われたが、何から手をつけたらいいのかわかりません」という質問もよくいただきます。
アイスブレイクの重要性はわかっているけれどどうやって身につけたら良いかわからない方向けに、これまで私が取り組んできたことを言語化・体系化してみました。
同じような状況で困っている営業マンに役立てば幸いです。

あくまでも重要なのは、アイスブレイクが全てではない、ということです。アイスブレイクは成約率を高めるための手段のひとつであって、アイスブレイクを完結することは目的ではありません。

売れる営業マン(つまり、魅力的かつ信頼される営業マン)に成長するためのステップのひとつと捉え、挑戦してみましょう。

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営業コラム Vol.002 「営業の初回訪問の流れ|“事前準備”の重要性とコツ」 https://seed-p.co.jp/sales-column-002/ https://seed-p.co.jp/sales-column-002/#respond Fri, 02 Feb 2024 01:00:25 +0000 https://seed-p.co.jp/?p=727 前回、営業の成約率を高めるために必要な考え方や、営業の全体の流れについてお話ししました。
今回からは、営業の一つひとつの流れに注目し、それぞれのポイントを解説していきます。

営業の流れはアポ獲得から始まります。ただ、このシリーズでは商談の成約率を高めることがテーマであるため、今回はアポ獲得の要素についての説明は割愛します。

アポを獲得したら、次の流れは初回訪問になります。初回訪問の結果によってその後の商談の流れが左右されるため、非常に重要なプロセスです。
今回は、初回訪問の全体の流れについて紹介しつつ、初回訪問において最も重要な「事前準備」について解説していきます。

営業コラム Vol.001を読む

 

初回訪問の流れ

まずは、初回訪問の流れを分解してみましょう。大きく分けて、訪問前、訪問時、訪問後の3つに分けることができます。

「訪問前」にやること

  • 事前準備

「訪問時」にやること

  • アイスブレイク
  • 自己紹介・自社紹介
  • ヒアリング(訪問先の相手と意見交換し、そこで生まれた課題について議論し、課題の本質を見つける)
  • 商談クロージング(次回アポの設定)

「訪問後」にやること

  • お礼メール(当日もしくは、翌日までに送る)

上記が一般的な初回訪問の流れになります。この工程の中でも、特に事前準備は重要になります。
それでは、事前準備について詳しく解説していきます。

 

事前準備について

事前準備は、初回訪問の中でも欠かせない項目です。
当たり前ですが、初回訪問をするまで、お互いのことを知らないわけです。
訪問される側が私たちを知らないことは問題ありませんが、私たちが訪問する側を知らないまま企業を訪れてしまっては、商談を有利に進めていくことは難しくなります。
相手の企業と信頼関係を築くことや、真の課題を見つけ出すためには、事前準備をしっかり行い、初回訪問に臨みましょう。

仕事の良い進め方として、「段取り八分仕事二分」という言葉がありますが、商談も同様です。8割は準備にかかっているといっても過言ではないと、私は考えています。
前回の記事で解説した、潜在顧客を顕在顧客にしていくためには、まずは潜在顧客、つまり商談相手について理解することが重要です。そのために事前準備が必要になるのです。

前回の記事でもお伝えしたように、よくいる営業マンに、自社や自社サービスをひたすらアピールしてしまう人が一定数います。そのような人は事前準備が不十分であることが多いです。

ここまで読んで、自分はちゃんと事前準備しているな、と思った方も多いでしょう。
では、みなさんは普段、どのような事前準備を行っていますか?
例えば、いつも使っている資料を用意する、訪問先の企業のウェブサイトにざっと目を通す、などではありませんか?

もちろん、何もしないよりはいいですが、さらにそこから一歩踏み込むことが大切です。
それは、ウェブサイトをみた上で、企業に対して考察を行うのです。

相手企業の課題を拾い上げることは、誰がやっても難しいことです。
初めて会った相手企業の本質的な課題を拾い上げるのは、尚更難しいことで、それ相応の準備が必要となります。

しっかりと初回訪問の目的を達成するために、事前準備を行なっていきましょう。

 

事前準備でおさえておきたいポイント

01. ビジネスモデルについて知る

まずは、訪問先の企業のビジネスモデルについて調査しましょう。誰に対して、何を、どのくらいの価格で売っているのか、これを洗い出すことで、ざっくりとしたビジネスモデルを理解できます。

例えば、飲食店と一口にいっても、牛丼や立ち食い蕎麦など、一般層に対して、早く安く食を提供しているところもあれば、高級レストランのように、ハイスペック層に対して、食事だけでなく雰囲気やサービスを提供しているところもあります。
両者はターゲットも異なりますし、単価も異なります。つまり、ビジネスモデルも全く違うものになりますね。

このように同じ業種であっても、ビジネスモデルの違いによって特徴が変わるのです。それを知ることが大切です。

02. 課題の想定

次に、調査したビジネスモデルで発生しうる課題について想定しましょう。課題は、自社が売りたい商品やサービスに紐付くものを想定していきます。

例えば、人材紹介会社の営業マンが、高級レストランへアプローチをかけるのであれば、アルバイトをたくさん集めるよりも、メニュー開発ができる調理人や、ハイスペックなサービスができる社員を集めることの課題や、課題に対する解決策を考える必要があります。
居酒屋や牛丼屋へアプローチをかけるのであれば、アルバイトをたくさん集めることが課題になるでしょう。

相手のビジネスモデルにあった課題を見つけ、その課題が自社の商品やサービスに紐付けば、相手企業が抱えているであろう課題に対する、解決策を提案することができるようになります

03. 課題に対する解決策の策定

想定しうる課題の洗い出しが終わったら、課題に対する解決策を考えていきましょう
とはいえ、想定で考えた解決策を提示するだけでは、相手は納得しません。そこで重要なのが、「事例」になります

例えば、居酒屋を経営している企業が、アルバイトの採用に関して課題を抱えているとします。そこに対して、「自社の媒体に求人広告を掲載したらアルバイトはたくさん集まりますよ」、と言ったところで、相手からしたら「本当かな?」と疑問に思うわけです。
もしくは、すでに他の媒体を使っていた場合は、「媒体に広告を出しても満足する人材はなかなか集まらないのに」などと、疑念が生じるでしょう。
「自社の商品やサービスを使ったらうまくいくよ」、というだけでは、説得力に欠けますね。

そこで、第三者の「事例」が必要になります。同じ業種業態の他社は、これだけの数値でこれだけの結果が出てますよ、など、根拠のあるデータを含んだ事例を提示することで、説得力が生まれます。
データが出せない場合であっても、「御社と同じ規模、または業態の会社が、当社のサービスを使ってこのような課題を解決しました」といった“他社・他人の声”はとても重要です。

また、「反対問答」の準備もしておくと良いでしょう。それって本当なの?や、他のサービスを使ったのにうまくいかなかったよ、など、相手から拒否反応を示されることがあります。
その際に、相手の拒否反応に対して理論的に解答をすることで、相手から信頼してもらいやすくなります。

相手からの疑問や懸念を解決することができれば、それは信用へと変わっていきます。
「本当に解決できるのか?」と聞かれた時に、「そういった懸念はよく質問されます、けれど私たちはその課題に対してこういうふうに解決してきた事例があるんです」、など、その場で相手が納得できるような、客観的かつ理論的な話ができれば、「この人はわかっているな」、「この人に頼めばいいんだな」、という信頼へつながっていきます。

この流れが生み出せると、一気に逆転できる状態に持ってこれるようになります。
辿々しく答えてしまったり、一度持ち帰って調べます、となると、大丈夫かな?という気持ちが生まれてしまうのは、皆さんも想定できるのではないでしょうか。

前回のコラムでお伝えした通り、営業時に売りたい売りたい、という気持ちだけを押し出しても、信憑性がありません
また、ただ資料を見せてその内容を説明するだけでも、相手はそれが自社の課題を解決するのかどうか、というのは判断できません。
事例も含めて、こういった理由で課題解決ができますよ、と、相手の懸念に対して即答できるような反対問答を準備しておきましょう。

営業準備は、最初のうちはものすごく時間がかかるでしょう。私が営業の教育支援を行なった会社の若手営業マンは、最初は準備に1時間以上かけて行なっていました。
けれど、経験を重ねればある程度パターンは見えてきます。最終的に彼らは、10分程度で準備ができるようになっていました。
私のように何十年も営業の仕事をしていると、アポ先の企業に向かう移動中に準備ができるようになっていきます。

余談ですが、本来、営業職のマネージャーは、部下の営業準備のチェックを行うべきだと私は考えています。
ところが実際は、マネージャー自身も営業準備をきちんとやらない、もしくはやれない人が多いのが現実です。しのごの言わずいってこい、とりあえずやってみろ、という指導では、売りたい意識が強いだけの営業マンになってしまいます。

事例や反対問答は、一度作ってしまえば会社全体へ共有することができます。ビジネスモデルや課題の選定というのは知識が必要なので、鍛錬が求められます。
1時間かけてやったことが10分で済むようになる、ということをマネジャーが教育できると理想的ですね。

商材によっては、営業準備をするよりも、とにかく電話をかけてアポイントメントを取ることを方針として打ち立てている企業もあるでしょう。
ただ、そういった場合も営業準備はやったほうが、成約率が圧倒的に上がると思います

 

ビジネスモデルや課題の選定に役立つ「有価証券報告書」

相手のビジネスモデルを想定して課題を選定するということは、一朝一夕でできることではありません。しかし、経験がない営業マンでもできる方法があります。

それは何かというと、上場会社へ営業に行くことです。
実は、上場会社は非常に営業準備がしやすいです。なぜかというと、上場会社は自社の情報を公開しないといけない決まりがあります。
有価証券報告書を筆頭に、自社のビジネスモデルや、課題について詳細に記載されているのです。そのため、相手へイチからヒアリングする必要がなく、深掘りする必要もないのです。

とはいえ、上場企業のアポは簡単に取れるものではなく、ほとんどの営業マンは中小企業を中心に営業活動を行っています
中小企業の場合は、上場企業のように情報を開示しなければならない決まりはありません。ウェブサイトを見たところで、わかることはせいぜい会社概要や事業内容くらいのもので、課題はもちろん業界の中の立ち位置というのもよくわかりません。

ではどうしたらいいのかというと、初回訪問先の企業と同業の、上場会社の有価証券報告書を見ればいいのです。そうすることで、業界の課題や傾向をある程度想定できるはずです

たとえば、A社という企業と同じ業種業態の、上場会社の有価証券報告書を読んで課題を抽出してみます。規模は違うのでイコールではないかもしれませんが、相手に対して、「御社はこのような課題をお持ちではありませんか?」と話を振ることができるようになります。
たとえ抱えている課題が違ったとしても、そこから話が広がり、相手の真の課題を見つけることにつながる可能性が高くなります。
また、この営業マンはよく調べてきているな、と感じてもらえるだけでも信頼獲得につながります。

有価証券報告書という言葉を見るだけで頭が痛くなるかもしれませんが、日本語が読める人であればわかる内容が記載されています。最初の10〜15ページくらいを読み込めば、商談に必要な要素はつかめます。

そもそも、その企業のポイントがわかるように書かれたものが有価証券報告書なので、字面だけで倦厭する必要はないと、私は思っています。
私の支援先の若手女性営業マンも、最初はとっつきにくそうにしていましたが、数社分読み込むうちに使いこなせるようになりました。

営業活動のためだけでなく、業界調査などにも役立ちますので、一度、興味がある企業の有価証券報告書を見てみるといいでしょう。

 

まとめ

今回は初回訪問において重要なプロセスである、事前準備について解説しました。
事前準備を紐解くと非常に奥が深く、なかなか大変に感じた方もいたのではないでしょうか。しかし、ここまで徹底して取り組むことで、初回訪問で次につながる結果を生み出すことができるようになります

最初のうちは時間も手間もかかり大変かもしれませんが、経験を積み重ねていくこと、そして自分の中で型が見えると、一気にスピードも質も向上します
自分自身の知識の定着にもつながりますので、普段なんとなく事前準備をしている方は、ぜひ真剣に取り組んでみてください。

「自社の商品を説明するだけ」の営業マンと、「相手のビジネスモデル、課題を想定し、それを元に相手にじっくりヒアリングを行い、その場で課題解決策(事例・反対問答含む)についてディスカッションできる」営業マンと、どちらが“デキる営業マンになるか”は想像に難くないでしょう

次回は訪問時に取り組みたい、「アイスブレイク」について解説します。
アイスブレイクは、当日の訪問で良い流れを生む重要なポイントでもありますので、みなさんにも身につけてほしいと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

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営業コラム Vol.001 「ソリューション営業で、営業マンとしての価値を高める。成約率を上げる考え方やプロセスについて」 https://seed-p.co.jp/sales-column-001/ https://seed-p.co.jp/sales-column-001/#comments Tue, 20 Sep 2022 00:00:14 +0000 https://seed-p.co.jp/?p=652 昨今、市場環境の変化が激しく、法人営業、個人営業に関係なく、「顧客」との接点やコミュニケーション、そしてニーズが複雑化していると感じています。

私は営業マンの育成にも携わっており、このような環境下に置かれた営業マンたちからは、「なかなか思うように売れない」「お客様のニーズをどう聞き出せばいいか?」といったご相談、および「商談のプロセスに関する質問」を受けることが増えました。

そこで、私が普段からセミナーなどでお伝えしている、「ソリューション営業育成方法」について、シリーズ形式で紹介していこうと思います。
シリーズを通して、ソリューション営業を成功させるためのノウハウを余すことなくお伝えしていきます。

今よりも成果を出したい営業マンや、質の良い営業マンの育成に困っている営業マネージャーの皆さんの一助となることを願っています。

 

ソリューション営業とは

そもそも、ソリューション営業とは一体何か、私が独自に分類した営業パターンをもとにお伝えします。

分類型
活動分類
内容
プロダクトアウト型(ものありき)A)説明営業自社サービスの説明をするのみ。
B)提案営業自社サービスに関する課題を営業側で想定し、相手のニーズに関わらず提案する。
マーケットイン型(お困りごと)C)御用聞き営業相手の要望を聞いてそれに答える。(営業側は消極的)
D)ソリューション営業相手の課題を聞き、場合によってはその課題が本質的なものか検証する。その後、その代を解決する方法を提案。
人間関係重視型(俗人的)D)接待・ごますり・べったりひたすら濃い人間関係を構築する。

ソリューション営業とは、まず相手の課題を聞き、その課題に対する解決策を提示していきます。場合によっては、聞き出した課題が本質的なものかどうか(その課題を解決することで、本当に売上や利益につながるか)を検証する必要もあります。

私のご案内するソリューション営業は、主に法人営業が対象となります。冒頭でお伝えした通り、市場環境の変化が激しい現在、顧客とどう接していくべきか、どのようなコミュニケーションを図るべきか、といったことに悩んでいる法人営業の担当者は多いでしょう。
このコラムでは、そういった人々に対して、役立つ内容を発信していきます。

ちなみに、コラムの内容のレベルとしては、平均的な成績(予算達成イメージ:90〜100%)、もしくは、おおよそ好成績(予算達成イメージ:100〜110%)の営業マン、そして、営業マネージャーを対象として展開していきます。ですが、若手営業マンにも役立つ内容ではありますので、興味がある方はぜひ読み進めてください。

 

営業における「顕在顧客」と「潜在顧客」

営業における顧客は大きく分けて、「顕在顧客」と「潜在顧客」の2つです。商材によりますが、おおよそ私の肌感覚として、「顕在顧客」は全体の10%程度、「潜在顧客」は全体の60%。残りの30%は、誰が対応しても成約が難しい門前払い対応顧客だと感じています。

簡単に説明しますと、顕在顧客は、誰が営業を行っても成約になりやすい顧客のことをいいます。既に商品やサービス、自社のことを知っていて、興味・関心がある状態だからです。

潜在顧客は自社のサービスに関する課題に気が付いていない、または、その課題の優先度が低いと感じている顧客です。そこは、営業マンの働きかけにより顕在顧客になりうる可能性を持ちます。

近年、インターネットが当たり前の存在になり、ウェブマーケティングや、コンテンツマーケティングなどによって、コストをかけずに顕在顧客にアプローチできるようになりました。
顕在顧客によるアプローチは、人ではなく、ウェブサイトやLP、ウェブ広告などが主流となりつつあります。

一方、潜在顧客に対してウェブだけでアプローチしていくには、まだまだ難しいのが現状です。ウェブに加えて、人が介入することで、潜在顧客に対する契約率はぐっと上がります。
つまり、潜在顧客の成約率を高めることこそが、営業マンとしての価値になるのです。

では、潜在顧客の成約率を高めるには、どのような営業を行えばいいのでしょうか?そこで効果的なのが、「ソリューション営業」となります。
次の項目では、ソリューション営業を行う際に持つべきマインドについてお伝えします。

 

ソリューション営業において持つべき「課題解決型」マインド

このコラムの方針をお伝えしたところで、改めて、ソリューション営業において必要なマインドやテクニックをお伝えしていきます。

営業マンのマインドは、大きく分けて2つあると考えています。
ひとつは営業マンとして良い成績を出したい、とにかく売りたいという「売りたい型」マインド、もうひとつは、相手の課題を解決したい、人の役に立ちたい、という「課題解決型」マインドです。

営業マンとして良い成績を出したいというマインドは、目線が自分に向いています。相手に必要かどうか関係なく、自分が売って自分の成績を立てたい、という考えのもと営業を行います。

相手の課題を解決したい、人の役に立ちたいというマインドは、相手に困っていることがあって、その困りごとを自社の商品やサービスで解決できることがあれば買ってもらう、使ってもらう、という考えのもと営業を行います。
このマインドを持って営業に取り組んでいると、相手が必要なければ自社の商品やサービスを売らないこともあるでしょう。他社の商品やサービスをすすめる、ということもあるかもしれません。

これらのマインドは価値観の違いによるもので、良い悪いというのはありません。しかし、顧客視点に立ったときに、どちらのマインドを持った営業マンと付き合いたいかというと、言わずもがな後者が選ばれるのではないでしょうか。
(私の長年の経験では、個人向けの営業は「売りたい型」マインドの営業マンが好成績で、法人営業は「課題解決型」マインドの営業マンが好成績の傾向にあると思います。)

営業マンとして良い成績を出したいというマインドは、特に若い営業マンに起こりがちです。成績を上げるために顧客のメリット・デメリットを考えず、とにかく売りたいという欲が出てしまうのです。もしくは、上司やマネージャーに、「目標達成するために四の五の言わず売ってこいと」言われ、強いプレッシャーの元、なんとしても売らなければならない状況に陥っている場合もあるでしょう。

こうして改めて文章で読むと、もしかしたら自分もそうかもしれない、と気づく方も多いのではないでしょうか。大抵の場合、言われるまで気づかないことの方が多いです。
実際にこれまでも、とにかく売りまくる、売れればなんでもいい、という姿勢だけで営業をしている新人営業マンに出会うことが多々ありました。私が指摘することで初めて、彼らはそうだった、と気づくのです。

これを機に、改めて自分がどのようなスタイルで営業をしているか振り返ってみましょう。

営業マネージャーなど、ご自身が教育をする立場であれば、部下や新人に無理難題を押し付けていないか、振り返ってみるといいでしょう。
そもそも企業自体に、誰かの役に立とう、世の中の役に立とう、というマインドがなければ、ソリューション営業はうまくいかないでしょう。

 

営業で身につけておくべきテクニックやスキル

先ほどもお伝えした通り、「売りたい型」、「課題解決型」どちらのマインドが良い悪いということではありません。根本として、売りたい意欲があることは素晴らしいことです。
売りたい意欲に対して、さらに顧客目線に立った視点を持てるようになったら、より信頼を得られるのです。

意欲があるけど、スキルがないのでどうしたらいいか分からない、という人もいるでしょう。
スキルがない理由のひとつとして考えられるのは、上司や会社から適切な教育を受けていないケースです。何でもかんでも聞くな、背中を見て覚えろ、しのごの言わずに足を動かせ、ということを言われてしまうのです。
高度経済成長期、バブル期はそれでよかったかもしれません。しかし、今は世の中はモノや情報であふれ、個人である程度の判断ができるようになりました
そのような世の中では、自社のサービスを一方的に説明し、ひたすら売り込む営業方法では、余程の天才でない限り、商品やサービスが売れるはずがありません。

誰でも身につけられる、営業のテクニックやスキルは、大きく分けて2つあります。
ひとつは心理学です。営業で使える、心理学を用いたテクニックとなります。インターネットで「営業心理学」と検索すると、大量の情報が出てきます。中には80種類ほどの心理学テクニックが掲載されているサイトもあります。そんなにたくさんのテクニックは、身に着けるだけで10年くらいは掛かりそうです。私は数種類の心理学テクニックを身に付ければ、大抵の商談はクリアできると思っています。中には、意志さえあれば全く苦労なくに身に付くテクニックもあります。

気をつけていただきたいのが、心理学のテクニックを用いたからといって、営業マンとしてのスキルが一気に上がるわけではありません。これは小手先のテクニックです。
課題解決型を目指すには、相手から重要な情報を引き出す必要があります。相手から悩みや課題を聞き出すことがソリューション営業の本質ですから、それは心理学テクニックではクリアできません。

相手から情報を引き出すためのスキル・マインド・知識が、営業で身につけておくべき2つ目のテクニックとなります。

それぞれの詳しいノウハウは今後のコラムで、より詳しくお伝えしていきます。

2つの営業テクニックを身につけたところで、それらを駆使して営業先企業のビジネスモデルとその課題の分析をすることで、さらに成約率を高めていきます。
営業マンの話を聞いてくれるということは、経営上の悩みを抱えていると考えられます。なぜ売上や利益が上がらないのか?将来に向けた不安は何か?原因を深ぼり、拾い上げることで、相手は納得してくれるだけでなく、信頼してくれるようになります。
掘り下げる分解度が高ければ高いほど、相手経営者が驚くような真の課題を見つけられ、的確な営業のアプローチができるようになるでしょう。

もちろん、ここまでのことは一朝一夕でできるようなことではありません。テクニックを身につけたら、それをどう活用していくか、経験を積む必要があります。

営業は、ゴール(営業としての最終目的、つまり成約、そして紹介)に辿り着くまでに、いくつものプロセスがあります。
ここからは、営業のプロセスを理解し、それぞれのプロセスで何をすべきかを学んでいきましょう。

 

営業のプロセス

営業の全体のプロセスは以下です。

今回はリアルでの商談のスキルアップに焦点を当てていきますので、「アポ獲得」に関してはまた別の機会でご紹介しようと思います。

アポ獲得をプロセスに組み込んでいる理由は、アポイント獲得の対応に気をつけてほしいということをお伝えしたいからです。
アポイント獲得時の連絡方法ひとつとっても、繰り返しお伝えしている「マインド」によって伝え方がわかってしまうため、注意する必要があります。
契約を取りたい、売上を上げたい、という思考が強い人は、アポイントの段階で余計な発言をしてしまうことがあります。例えば、アポイントの日程打診のメールを送ると同時に自社の商品の紹介をしてしまうと、「それは間に合っている」「以前同様のサービスを聞いたことがある」などと、相手に訪問を断る理由を作ってしまいます。

あくまでアポイントの連絡の目的は、「日程を決める」ということを念頭に置き、感情を先走らせないことが大切です。そのためにも、流れを細分化させ、プロセスごとの目的・意図を定め、それ以外のことは極力しないように淡々と進めていきましょう。

各プロセスのポイントについては、今後のコラムでそれぞれ詳しく紹介していきます。
全体のポイントとしては、各プロセスにおける目的が達成できていない状態で、次のステップには進まないようにするべきです。
今回紹介しているプロセスは、ものづくりの生産工程と同じものだと捉えてください。ものづくりを進める際、前工程が完了していない状態で、次の工程には進みませんよね。
それは、前工程が完了していなければ、次の工程を完了させることもできませんし、最終的な完成へと辿り着けないからというのは誰でも理解できると思います。

営業も同様に、どこかのプロセスを飛ばしてしまったり、雑に進めてしまうと、最終的な完成(クロージング)ができなくなってしまいます
相手が納得しきっていない状態で勢いで進めてしまうと、クロージングの段階で必死になって商品をアピールしたり、相手に媚を売るようなことをしてしまうため、相手が一気に冷めやすいです。
特に若い営業マンはプロセスを雑に扱いがちなので気をつけましょう。

全てのプロセスを大切に扱うことは、営業だけでなく恋愛でも同じことが言えそうですね(笑)

 

商談で意識すべきポイント

営業のプロセスを進めていく中で、意識しておくべきポイントがあります。
良いポイントと悪いポイントがありますので、アポ獲得からクロージングまでのプロセスごとに紹介していきます。

アポ獲得時

アポ獲得に関しては、「日程を確定させること」に集中しましょう。電話やメールの目的は、あくまで日程を決めること。できる営業マンは、この段階では余計なことは言いません。
イマイチな営業マンは、ここで自社の商品や、自社の説明をしてしまいます。訪問前に相手に情報を与えすぎてしまうと、かえってアポイントを断るチャンスを与えてしまいます。
自社の商品をアピールしたい、早く契約を獲得したい気持ちもあるかもしれませんが、ここは冷静に、そのプロセスの目的を達成するための行動を淡々と進めましょう

ただし、「おたくどんな会社なの?」、「どんな商品、サービスなの?」と聞かれた際は、きちんと回答しましょう。ここで回答をしないのはかえって失礼です。
気をつけたいのは、あくまで最低限の情報だけを提供するようにしましょう。オブラートに包めば包むほど、相手は気になって食いついてきます。逆に、全てを開示してしまうと、先ほど伝えた通り、相手に断るチャンスを与えてしまいます。
短い説明で「なんだか面白そうだな」「とりあえず会ってみよう」という興味関心を持たせられるよう、事前に相手の質問を想定して、その回答方法を整理しておきましょう。『段取り八部』、営業マンは準備が何より大事です。

初回営業時

初回営業時は、相手が話題の主体になるように「聞く」ことに徹底しましょう。営業マンの心理としては、自社の紹介や、商品の紹介に時間を割きたくなりますが、それは最低限に抑えましょう。私は初回営業でも自社の紹介を全くせずに、いきなり相手の課題のヒアリングに入ることもあります。
相手の課題やニーズがわからないうちに、無理やり商品を勧めてもかえって煙たがられ、成約は遠のくばかりです。
最初に相手の情報(主に経営課題)をたくさん集めた方が、相手への提案内容が明確になるので、その後のプロセスで有利に商談を進めていけます。
相手の方がたくさん話せるように、話を引き出すテクニックを身につけ、活用しましょう。

自社サービスの説明

自社サービスの説明は、このサービスはこういう特徴があるから良いんですよ、や、私たちはこう思っているからおすすめですよ、などといった、主観的な説明に頼らず、客観的な説明も盛り込みましょう
客観的な説明というのは、「事例」です。ウィンザー効果といって、第三者の意見というのは相手に非常に刺さりやすいです。口コミなどはまさにウィンザー効果を活用したマーケティングですよね。
私たちがこう思っています、ではなく、クライアントがこう言っています、ということを伝えることで説得力を持って商談を進めていけます。

売れる営業マンは事例の引き出しが豊富。自信を持ってそうだと言い切れます。

商談全般、相手の懸念や疑問

商談を進めていく中で大切なのは、いかに相手の懸念や疑問を早く引き出すか、ということです。
どんな優秀な営業マンでも、何の壁もなく成約に至ったという商談は極めて少ないでしょう。どこかのタイミングで相手が懸念や疑問を抱く瞬間は必ずあります。そして、未熟な営業マンほど、それらの瞬間がくることを恐れています。断られてしまうのが怖くて、懸念や疑問を聞かないようにしてしまうのです。
しかし、懸念や疑問点を放置してしまうと、クロージングの時にそれが原因で、相手に契約を断られる可能性を増やすことになります。

早い段階で相手が抱いている懸念や疑問を全て引き出し、それらを解消するために行動することが重要です。
相手の懸念や疑念をクリアにした状態で、クロージングに望むようにしましょう。

できる営業マンは、相手の懸念や疑問に対してすぐに切り返せます。豊富な経験、または事前準備により、相手から出てくるであろう疑問や懸念を想定できています。なので、それに対する回答を持っています。懸念や疑問を怖がることなく、むしろクロージングに近づくチャンスと考えています。
根拠を持って論理的に相手の懸念や疑問を切り返せると、そこから一気に成約へとつなげることもできるでしょう。
イマイチな営業マンは、相手の疑問に対する回答すらできないことが多いのです。
懸念や疑問が出てくるのが怖いので、それを避け、成約から遠のいてしまう環境を自ら作ってしまう傾向にあります。

価格提示

価格に関しては、相手から聞かれるまで言わないようにしましょう。そもそも商品やサービスに対して興味がない人に値段を言っても意味がありません。
金額はどのくらいなの?と言わせることで、相手が興味を持っているかどうかも確認できます。相手が値段に対してどのくらい食いついているかも、クロージングへ進める際のバロメーターとなりますので、注意深く相手の反応を伺いましょう。

クロージング①

テストクロージングとは、相手の商品に対する興味関心を確認する行為です。イマイチな営業マンは、商談末期のいわゆるクロージングの段階になったら、いきなり、買うか買わないかの選択を迫ります。
この方法が悪手であることは、自分自身を買う立場に置き換えたらすぐにわかると思います。
例えば、あなたはお気に入りの店で、新しい洋服を買おうか悩んでいます。すると、店員さんが近づいてきて、その商品の特徴やおすすめポイントを話してくれました。ひととおり話を聞いて、改めて検討をしようとしているあなたに対して、店員さんは、「買いますか、買いませんか、どうしますか?」と聞いてきました。果たして、あなたはその商品を購入するでしょうか?・・・答えは明白ですね。

あくまで自分が決めて購入した、と思わせ、気づかれないように相手を誘導することが、クロージングでは大切なのです。

そのために、できる営業マンは、商談のプロセスの中で、小さいクロージングをいくつも作っていき、少しずつ相手の心理状態を確認しながら商談を重ねていきます。
テストクロージングに関してはスキルが必要なので、今後のコラムで詳しくお伝えしていきます。

クロージング②

クロージング②は、明日からできるマインドの問題です。
クロージング①でお伝えした通り、買うか買わないかは、あくまで相手に決定権があるということを理解しておくことが重要です。イマイチな営業マンは、買うか買わないかを自分でコントロールしようとしてしまいがちですが、最終的な決定権を持っているのは、当然相手側です。

できる営業マンは、クロージングまでのプロセスを自分のコントロール下において、最終的な決定権は相手に委ねます。相手がこの商品を買うべきか?買わないべきか?を正当に判断するため、有益な情報を提供し続けることが、営業マンの本当の役割なのです。

それでは、商談で意識すべき点を、改めて整理しましょう。全体を通して、以下の6つのポイントを押さえておくことが重要です。

  • 後出しじゃんけん
  • 他者の影響力を使う
  • 懸念、疑問の風船を膨らませない
  • 徐々にクロージングする
  • 買う、買わないの決定以外の商談をコントロールする
  • 理論を用いて感情に訴える

後出しじゃんけんというのは、自分から情報を先出しにしないということです。多くの営業マンは、自社のサービスや商品の情報を、最初から全て出そうとしてしまいます。
そうではなく、まずは相手から情報を引き出し、それらを解消することができるのが自社のサービスや商品である、という見せ方をすることで、提案が的を得やすくなり、さらに相手に良い印象を与えながら商談を進めていけます。
また、最初に情報を与え過ぎてしまうと、余程特徴のある商品でない限り、相手に断る材料を提供することになりやすいです。最低限の情報を提示した後は、相手の課題・不安・悩みに早めにアプローチするようにしましょう。

他者の影響力を使うというのは、「自社サービスの説明」でお伝えした内容となります。自社の視点からの意見ではなく、他者の視点からの意見=事例をみせることで、情報の信ぴょう性を高めましょう、ということです。

懸念、疑問の風船を膨らませないということも、「相手の懸念や疑問」でお伝えした内容です。相手に断られかねない要素は、早めに吸い上げて解消していく必要があります。
懸念、疑問を放置しておいて、それが膨張して「懸念と疑問の風船」が爆発してしまったら、商談は終了となってしまいます。

徐々にクロージングする、買う、買わないの決定以外の商談をコントロールする、ということも、「クロージング」でお伝えした通りです。

理論を用いて感情に訴えるというのは、その商品の有効性は理論で判断することが多いですが、
人が最終的に購入を判断するのは感情によるということです。素晴らしい理論で商談を進めて行きながら、相手から「どうもこの営業マンは性に合わない」「何となく今は買いたくない」という感情的理由で不成約になることは珍しくありません。

ほとんどの経営者は、理論・理屈に基づいてビジネスの良し悪しを判断をします。とはいえ、経営者も人間なので、時に感情が大きく影響することもあります。例えば、ちょっとしたメールの文章が失礼だった、言葉遣いが気に食わなかったという理由で、それまで順調だった商談が破談になってしまうこともあるのです。

いくら完璧な理論で商談をコントロールできたとしても、感情で相手に拒否されるのは大きな損失です。相手に嫌な思いをさせない、という感情のプロセスをコントロールすることも重要です。

 

まとめ

今回のコラムは、ソリューション営業のノウハウを学ぶために、最低限押さえてほしい基礎知識を紹介しました。
営業のプロセスや意識すべきポイントを紹介しましたが、一番は、営業マンとしてのマインドをしっかりもつことが大切です。自分の意思に基づいた強いマインドを持っていれば、自ずとスキルやテクニックは身に付いていきます。
しかし、中長期で活躍する営業マンになるためには、根幹に「売りたい型」マインドだけでなく、「課題解決型」マインドを持つことが必要と私は感じます。

私自身も会社を経営していますので、営業を受けることがあります。すると、多くの営業マンが「売りたい型」マインドで営業をしてきます。一方的に自社商品について説明され、どうですか?と聞かれても、自社にとって良いのか悪いのかよくわからない。そこまで必要と思わない、と感じることがほとんどです。

ただ商品を売るのではなく、相手の課題やニーズを聞き、解決策を提案する流れで自社商品を説明してくれる方が、単純に興味・関心を持ちやすいです。人は、自分に興味を持ってくれる人に対して、興味を持つものです。「人」に対して商談をするということを念頭に置いておけば、どのようなマインドで営業をすべきかが明確になってくるでしょう。

次回からは、営業のプロセスに沿って、細かなコツやテクニックをお伝えしていきます。
より実践的な内容になっていきますので、ぜひ楽しみにしていてください。

営業コラム Vol.002を読む

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