ビジネスコミュニケーションが苦手な人へ押さえておくべきポイントを解説!

営業現場において、クライアントとのビジネスコミュニケーションは欠かせません。しかし、商談時に「一方的に自社の商品やサービスについて語ってしまう」営業マンが少なくありません。
私はできるだけ営業を受けるようにしているため、実際にそういう営業マンに良く出会います。つまり、双方向のコミュニケーションが取れていない商談が多いと感じます。
私は、プライベートのコミュケーションと、ビジネスのコミュケーションは、種類が異なると思っています。相性を含めて相手によりますが、基本的にはプライベートのコミュケーションの方が難しいと思っています。
ビジネスのコミュケーションは、話題が限定されます。例えば、交流会で名刺交換をしたら、相手の名刺を見て「どんな事業をしているか?」「業歴は?」「社員数は?」など、定型の質問で相手の情報を得ることができます。
相手の事業に関するビジネスの話をすればいいので、多少の知識・知見があれば話題を広げられやすいです。自分に事業・業種などの知識が足りなければ、アポが取れている場合は事前に準備をすることもできます。
かたや、プライベートの場合、特に初対面の相手ですと、どんな話題になるか想定ができません。「趣味は?」と質問をした結果、相手の趣味が自分の未知の世界だった場合、次に話を続けることが難しくなります。そこで「好きな食べ物は?」と聞いて「何でもおいしく食べられます」と言われたら・・・
しかし、商談や交流会で、自らコミュケーションを拒否する人が少なくありません。商談開始後に、30分近く一方的な説明を続ける人もいます。交流会で名刺交換直後に自社の説明を始め、一方的に話した後に「良い人がいたら紹介してください」と言って去っていく人も珍しくないです。
プライベートの会話で、自分の話を一方的に30分続ける人がいたらどう思いますか?
30分とは言わず、10分でも自分の話を続ける人はどうでしょう?
そんな人とは話したくないと感じませんか?
ビジネスではなぜ、一方的に話してしまうのでしょう?
それは、売ることが目的になり、自分の都合を相手に押し付けてしまうからではないでしょうか。
ビジネスのコミュニケーションとは

営業において必要なコミュニケーション能力について、「話し上手」「説明上手」というイメージを持っている人が多いと思います。逆に言うと、「口べたな人」が営業で売れそうとは思わないでしょう。確かに、程度にもよりますが「口べた」の人が営業で売れることは難しいかもしれません。
ただ、「話し上手、説明上手だから売れる」ということには必ずしもならないです。特に、法人営業においては。商談が始まるなり、上手に30分間一方的に自社や自社のサービスを説明する人が、本当に売れる営業になれるでしょうか?
法人営業において、ロープレを繰り返して説明上手になった人が、営業の結果を出せるでしょうか?
法人向け商品・サービスのほとんどは、「課題を解決する」ためにあります。
であれば、自社サービスの説明をする前に、相手の課題を聞いた方が商談を有利に、適切に進められます。かといって、初めて訪問した相手に対して「あなたの課題は何ですか?」とは聞けません。
会って間もない良く分からない相手に、自分の腹のうちは見せません。また、経営者自身が、明確な課題が分かっていないケースも珍しくありません。人は誰でも、自分(自社)のことが一番分かっていないです。
では、どうやって課題を引き出すのか?そのやり方は後ほどご説明しますが、いずれにしても法人営業において必要なコミュケーションの要素は、「話し上手」以上に「聞き上手」となります。
法人営業におけるソリューション営業の具体的方法については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
コミュニケーションのための事前準備
ビジネスにおいてコミュニケーションを円滑にするために最も重要なことは、「聞き上手」になることです。「話し上手」はトレーニングをしても上達が簡単ではないですが、「聞き上手」は努力と経験によって確実に上達することができます。そのために必要なことが「事前準備」です。
ビジネスシーンでコミュニケーションが上手い人は、小手先のテクニックを使用した口が上手い人ではなく、相手の興味のある話ができる人です。「相手の興味のある話」とは、よほど相手が求めていない限り、こちらの商品・サービスの話ではなく、相手の会社の問題点(課題)を抽出し、その解決策について議論することです。
鍛えるべきはコミュニケーションスキルよりも、ビジネススキルです。スポーツで言うと、走り込み、筋トレのような、地味ですが確実に力の付く必要不可欠な基礎体力作りです。これをサボる人は、安定的な活躍ができません。
相手の興味を惹く話題、つまり「相手企業の課題解決」を的確に抽出するためには、かなりの経験者でない限り「事前準備」が必須となります。
相手のビジネスモデルを元に、どんな課題があるのか?それを自社のサービスでどう解決するか?同様の課題に対して、今までどのような課題解決事例(実績)があるか?
これらを事前に準備しておくことで、相手に適切な質問が投げかけられるようになります。話し上手だが準備をしない営業マンより、口べただが綿密な準備をして商談に臨む営業マンの方が、中長期的には売れる営業マンになれます。
営業準備の5ステップ
私は、営業準備のためには5つのステップが必要だと主張しています。詳細は以下のコンテンツに掲載されていますので、ここではポイントだけご案内します。
営業準備の5つのステップは以下の通りです。
- 相手のビジネスモデルの想定
- 相手の課題の想定
- 課題解決方法の想定
- 事例の準備
- 反対問答(相手の懸念・不安・疑問への回答)の準備
「1~3」は、企業ごとの検証が必要です。「4、5」は社内で情報を集約し、「事例集」、「反対問答集」を作成し、メンバーに情報共有しておくことが有効です。事例集の中から、今回の商談相手に適切な事例をピックアップして、どのタイミングで案内するかを決めておくことで、商談を有利に進めやすくなります。
ここではさらに、よりレベルの高い課題の想定方法について紹介します。商品・サービスによってはここまで考える必要がないケースもありますので、適宜ご参照ください。
課題の想定方法のコツは、以下の3つのポイントになります。
- 自社サービスで直接解決できる課題
- 周辺知識・情報を活用して解決できる課題
- 自社サービスの範囲を超えて、解決すべき課題
上記の説明だけでは分かりにくいと思いますので、生命保険を例にとってご説明します。
- 経営者に万が一のことがあった場合に、会社を存続させるための保障として、どの保険種類(終身保険、定期保険、養老保険など)に加入すべきか
- 上記に加えて法人税、相続税などの税務や法律を加味しての課題想定
- 相手企業の事業リスク、キャッシュフローを加味しての課題想定
保険を売ることを生業としている人で、1の知識がない人はいないでしょう。2になると、人によって知識レベルが異なります。3まで考えて経営者と議論、商談をしている人になると、だいぶレアになると思います。
私は生命保険の代理店の営業コンサルをしていますが、3まで議論の幅を広げるので、それなりに売れている人でも思いつかない課題と、それに伴う提案が想定できます。
続いて、人材紹介事業において、上記と同じ検討プロセスを考えてみます。
- 現状、どんな人材を欲しているのか?相手の要望を聞いて、その人材を探しに行く。
- なぜ、そのような人材を欲しているのか?その人材を採用することで、本当にその企業にとって有益なのか?採用が現実的なのか?相手企業の真の課題、必要性を検証する。
- 当該企業の将来の事業展開、事業リスクを加味して、必要なスキル、スペックなどを検証する。(中長期的な視点)
人材紹介会社の場合、営業成績に対するプレッシャーが強いことが多いので、商談の進め方が近視眼的になりがちです。しかし、営業活動は半永久的に続くので、相手の信頼を得ることで中長期的な成果を挙げる視点も大事と思います。
相手企業の業種にもよりますが、正論として上記の意見をお伝えします。
もうひとつ、広告(Webマーケティング含む)事業において、検討プロセスを考えてみます。
- 相手の要望に応じて、広告を掲出する。
- 自社、および自社サービスの強みを検証し、誰に対して何を伝えるのか?どの媒体に広告を掲出するのか?
- 広告を出すことで、当該サービスの売上に本当につながるのか?
競合他社との比較、社会ニーズの検証など、サービス自体の課題はないのかを検証し、必要に応じてサービスの質の向上を図る。
質のレベルはあれど、ほとんどの場合1、2は行うでしょう。ただし、3を行うケースは少ない気がします。
理由は広告事業側にそこまでの知見・知識がないことと、広告の受注を失う可能性が出てしまうことにあるからと思います。
「2」まで議論ができれば信頼は大きくなります。当初の依頼時より自社サービスに自信を持てれば、広告出稿の金額が大きくなる可能性も出ます。何より、中長期的な信頼を得られます。
上記をお読みになって、どうお感じになりますでしょうか?
「そこまでやる必要がない」と思った方は、やる必要はないと思います。ただし、「やりたい」「やるべき」と思った方はチャレンジすることを強くおすすめします。
なぜなら、どんなサービスであろうと法人営業において結果を出している人のほとんどが、「そこまでやっている」からです。
私はたくさんの営業マンを知っていますが、私の知る限り間違いのない事実です。
やり方については、すでにご説明した通りです。始めは戸惑うこともあると思います。誰でも最初はヒヨッコです。
まず、始めることです。始めると、必ず失敗します。失敗をすれば、改善方法が思いつきます。人は「失敗・改善」の繰り返しで知恵がつき、成長します。成長のプロセスは、チャレンジして失敗を繰り返すしかないです。
私もたくさん失敗してきましたし、今も失敗の日々です。失敗してもあきらめなければ、成長は続きます。何より大事なことは「続けること」です。「失敗しないコツは、成功するまで続けること。」まさに、これです。
その意志は、商談相手(経営者であれば特に)に伝わります。真のコミュニケーションとは、「上手くやろう」と小手先のテクニックを学ぶのではなく、
本気度が大事と思います。
小手先のテクニックを駆使しても、経験豊富な経営者にはスグに見透かされます。
お笑い芸人は、「人を笑わせようとしているうち」は面白くありません。「自分たちが楽しもう」、「世に笑いを届けて、1人でも多くの人にハッピーになってもらおう」などと、本気で思えた時に人は笑います。
「やりたいけれど、どうしたらいいか?」身近に相談する人がいなければ、私までご連絡ください。いきなり「有料です」なんて、絶対に言いません(笑)
ビジネスにおける基礎トレーニングとは?
ビジネススキルを上げれば、コミュニケーションスキルは勝手に上がる

ビジネススキルにおける基礎トレーニングは、以下の2つと考えています。
- たくさんの知識・情報を得る
- たくさんの人に会う
知識・情報を得る方法は、以下の2つと思います。
- 新聞、雑誌、その他メディアなどから情報を得る
- 他人から情報を得る
上記で気を付けることは、「自分の興味がある情報や人としか接点を持たない」ことを避けることです。自分の興味の範囲しか接しないと、自ずと情報が偏ります。そして、情報の正確性が欠けたり、自分と趣味・価値観の合う相手としか良いコミュケーションが取れなくなります。
私は毎朝、紙の新聞の全ページを見ます。多い日は44ページの紙面があります。全部「読む」とそれだけで1日が終わってしまいそうなので、「見る」ことが大事です。大見出しを「見る」だけでも、世の中で起こっている情報が広く入ってきます。その中で、自分にとって有益な記事があれば、本文を「読み」ます。
人も同じです。商談になり得る相手とだけ話す。自分と全く異なる世界に生きる人との会話を避ける。そうなると、情報は偏ります。ビジネスマンは、広く情報を得て、どんな人とも一定の会話を成立させることができることが理想です。
そうやって、広く情報を得て、多方面の人と話をすれば、いつの間にかビジネスの基礎体力が磨かれ、コミュケーションスキルも向上します。情報と人に制限を掛けないことが重要です。(ただし、悪い匂いのする人など、「付き合うべきでない人」の選別は必要です。)
シードパートナー・永沼が意識しているコミュニケーションについて

ご自身が営業において特に意識しているコミュニケーションのポイントを教えてください。
私が法人営業に関する講演、セミナー講師をする際に、聴衆者にいろいろな質問を投げ掛けます。その中のひとつに以下の質問があります。
「初訪問の会社社長のアポが1時間あります。あなたはその1時間でどんなことを、それぞれ何分ほど話すことが理想の商談ですか?」
人によって答えが違うので面白いのですが、おおよそは、以下の回答となります。
- アイスブレイク:5~10分
- 自社案内:5~10分
- ヒアリング:15~20分
- 提案:15~20分
- 次回アポ獲得など:5分
では、私の営業はどうかというと、最初から30分以上アイスブレイクをします(笑)
実は私はアイスブレイクと言いながら、いわゆる雑談をするわけではないんですね。アイスブレイクという名前でヒアリングを行っているんです。
私の理想の商談は以下の通りです。
- アイスブレイク:25分
- ディスカッション:15分
- 提案:10分
- 次回アポ獲得など:数分
- 帰り際の雑: 残りの時間
なぜそのような方法を取っているのですか?
私の理想の商談時間配分をご覧になって、「アイスブレイクに30分!?商談の半分の時間が終わってしまうではないか!」と疑念を抱く人がいます。その方と私は「アイスブレイク」の概念が違います。
その方にとってのアイスブレイクは「場を和ませる雑談」だと思います。私にとってのアイスブレイクは「OFFの状態を活用したヒアリング」になります。
「今日も暑いですねぇ~」などと天気の話などをして、「では本題に・・・」と会社案内を始めると、そこから相手は「商談が始まった」とONの状態になります。ONの状態になると多くの人は「売られたくない」と構えます。弱みを見せると売られるので、本音が出て来なくなります。
なので、私は商談をONの状態にしたくないのです。アイスブレイクというOFFの雰囲気でヒアリングを始めます。相手は「商談が始まっていない」という感覚の元、名刺交換の1分後からヒアリングを始めることが私の商談はほとんどです。
私は少なくともこの2~3年、商談で自社紹介をしたことがありません。「それは、失礼では?」と思う方もいるでしょう。ただ、自社紹介なしで成約になった企業は多数あります。というより、ほとんどの商談がそうです。
当社がいつ創業で、どんな事業をしているか。多くの商談相手にとっては興味のないことです。興味があれば聞いてきますので、その時は答えます。
ただし、その回答も数秒で終わらせます。「当社は外国人材の紹介事業と、いわゆるコンサル事業を行っています。」これだけです。
その回答に対して相手がもっと知りたいと興味を持てば、また次の質問が来ます。
「なぜ、その事業を行っているのですか?」
「どの国の人材を扱っていますか?」
「どんなコンサルをしていますか?」
上記の質問についても、相手の質問に対してのみ完結に答えます。
私は、自分の話したいことを話題にするのではなく、相手の興味のあることを話題にしたいのです。
多くの経営者は「当社のために何ができるのか?」です。なので、「相手の会社に対して何をすべきか」を議論すべきであり、そのためには正確な現状把握が必要です。
正確な現状把握を行うためには、相手に本音を話してもらう必要があります。相手に本音を話してもらうためには、リラックスしている状態、つまりOFFの状態が必要です。そこで、しっかり営業準備を行い、相手の業界、相手の会社の課題を想定し、アイスブレイクでその想定を話していきます。
相手が興味を持つ話題で話を進めるので、コミュケーションスキルに気を遣わなくても、会話は盛り上がります。これが、私の理想の商談、理想のコミュケーションです。
これから営業のレベルアップを目指している人にアドバイスをお願いします。
私の理想の商談は、まさに「理想」であり、「言うは易く行うは難し」と思います。私は30年を超える社会人人生(法人営業人生)の中で、新人の時からこの理想を追いかけてきました。30年超の積み上げで今があります。
走力も、筋トレも、バッティングも、ビジネススキルも、最初は全員ゼロからのスタートです。今日、この文章をお読みいただき、「今日からスタートしよう」と思った方は、ぜひ、新しいトレーニングを開始してください。
「自分には難しそう」とあきらめてしまう人は、それで仕方がないです。「あきらめたくないが、何から始めればいいのか?」と、頭の整理ができない人は、ぜひ一度ご連絡ください。
まとめ
世の中の営業ノウハウはさまざまな本やインターネット上から得ることができますが、多くの本はコミュニケーションのコツや話し方といった(場合によっては「うわべの」)テクニックに寄っています。
もちろん、そのようなテクニックもひとつの大事なスキルではありますが、前提として知識や知見がなければ、コミュニケーションの表面を磨くだけになってしまうでしょう。地道な努力は楽ではありませんが、知識や経験が拡充できればそれは必ず「付加価値を提供できるビジネスマン」になることができます。
商談相手(特に経営者)は、相手をしっかりと見ています。「この人はすごく詳しいな」「信頼できるな」と思われることこそ、営業ビジネスにおけるコミュニケーションの本質でしょう。
これから営業のレベルアップを目指している人はまず、事前準備から始めてみてください。






